離職防止を目的にTFAの組織診断を導入された事例をご紹介いたします。
企業情報 (ご回答者:代表取締役会長)
業種:環境 / エネルギー
従業員数:~200名
・TFAの組織診断を導入された動機は何だったのでしょうか?
ここ数年積極的に採用を行いましたが、期待した水準ほどの成長ができていないことに対する原因の特定や、離職防止のヒントを得たかったことが挙げられます。
・組織診断の結果を見ていかがでしたか?
組織診断結果には薄々気付いていたことと、気づいていないかったことの両方がありましたが、私がこれから改革しようとしていた準備への裏付けをもらえたことが良かったです。
また当社においては部署だけでなく、社歴別、男女別にも特徴的な結果が出ましたので、それが分かったことはもう1つの収穫でしょうか。
・組織診断後、どんなアクションを取られていますか?
細かいのも入れると沢山ありますが、離職防止効果を期待した取り組みは3つあります。
1つ目は「社内における価値・評価の再定義」です。
当社人員の半数以上を占める営業部の横のつながりが他部署と比べてダントツに低いことが明らかになりました。今から5年ほど前に営業部の評価において個人売上の比率を上げてモチベーションアップを狙いましたが、これにより営業担当者の興味の対象が自分自身の売上となり、周囲のメンバーを助けるという気持ちが薄れてしまっていたと思われます。仮にこの状態で新戦力が入って来ても1人前になるまで時間がかかる上に、チームとしての一体感もない状態になってしまいます。
営業部の状況については私自身も対処すべき課題として認識し、評価方法を変更する準備に取り掛かっていたところでしたので、私の判断に対して裏付けをもらった形で、組織診断のタイミングとしては良かったと思っています。
評価の基準として、将来の会社の成長や企業価値向上に寄与することの比重を高めるよう価値の再定義を行い、来年度に導入できるように準備中です。
2つ目は「女性社員の将来への不安解消」です。
当社は女性社員の比率が4割ほどで、働きやすさを感じてもらえるように、産前・産後の休暇制度、時短制度など、柔軟に対応できるように体制を整えてきました。
その努力もあって女性社員においては就労環境のポイントが最も高く示された一方で、将来への希望を示す項目(キャリア展望)のポイントが最も低いことが分かりました。担当コンサルタントの方からはこの原因としては、これから先のキャリアの構築方法を明確にイメージできず、「漠然とした不安」を生み出しているのではないかという指摘を受けました。事実として、当社では創業から現在まで女性社員で定年を迎えた方はおらず、現時点で50代の女性社員の在籍もありません。
となると、確かに30~40代の女性社員にとっては、「今はいいけど10年後はどうなるのか」という不安にも駆られますよね。今後の対応策として40代後半の管理職、および専門職社員(いずれも女性)にロールモデルとなってもらうよう依頼しました。2人はきょとんとして「何をすればいいの?」という反応でしたが、同じ女性社員の不安が少しでも解消できるならと、理解を示してくれました。
具体的にはこれからですが、彼女らを例に出しながら、社内でキャリア構築のイメージ作りができればと思います。また女性にとっては結婚・出産により生活スタイルが大きく変化しますので、これまで作成していた単年目標に加えて中長期のキャリアイメージを毎年確認し、個々の状況と志向に合わせた働き方を相談していくことで長く活躍していただけるようにしたいと思います。
最後の3つ目は「入社前後のコミュニケーション改善」です。
今回の組織診断の結果では、社歴が浅いスタッフほど離職リスクが高い状態であることが分かりました。
いくつかポイントが低く出ている項目がありましたが、共通して言えることはコミュニケーション不足に起因していたため、入社前と後、それぞれで相互理解の質を高める為に、入社前についてはオファー面談、入社後については6ヶ月までを目途に月に一度ヒアリングセッションを追加することにしました。
入社前、つまり面接ですが私はこれまで第一印象重視で、いわゆる直感で決めると言っても過言ではありませんでした。よって私との最終面接は最長でも30分程度で合否を決め、良い人材を逃すことのないようにスピード重視で採用プロセスを進めてきました。確かにこれではお互いの理解不足が起こり、入社してみて「想像していたことと違う」と思われても仕方ないかもしれません。
オファー面談は、選考目的ではなく、当社からの採用意向を示した状態での話し合いの場とし、面接時の繰り返しになったとしても当社のビジョンをお伝えし、入社後に期待する役割を含めてお知らせした上で、入社の意思決定をお願いしていきたいと思います。
また入社後のヒアリングセッションですが、評価を行う上司からではなく、中立の立場を取る人事部から不安払拭を目的としたヒアリングを実施し、ネガティブな感情があった場合にできるだけ早く対処できるように変えていきたいと思っています。
もちろん、これから入社される方々だけではなく、この数年で入社したスタッフには個別にフォローを行っていきたいと思います。
これらの動きが結果として見えてくるのは少し先の話になるかもしれませんが、
改善を続けていきながら社員全員が気持ちよく働くことができる組織を目指していきます。